新卒2年目の冬 仕事で勉強になった本

 学生時代はITに全く縁がなかったけど、最近少しは理解できることも増えたから、よちよち歩きの初心者がワンステップ階段を上がったことも記念して、勉強になったと感じた本を紹介してみる。基本的に小説ばかり読みがちな自分がそうだったのでこれはITとか全然興味ない人や過去の自分に何かしら届けばいいなと勝手ながら思う。

 

 

1.図解コンピュータ概論(ソフトウェア・通信ネットワーク)

試験の勉強している時にテクノロジ関連が苦手だな〜と思って図書館でいろいろ手にとって一番馴染んだ本。シリーズはソフトウェア編とハードウェア編と2冊あるが、どちらか一つといえば、ネットワークやデータベースまで広くカバーしている前者を推したい。記述の仕方としては教科書を思い起こさせるので、そういった文章が苦手な方にはちょっと勧めにくいのもあるが、ありとあらゆる教科書がそうであるように、何度か意味が取れるまで読めば、腑に落ちてくる記述のように思えてくるかもしれない。

職場の人が連呼する「プロセス」のイメージが全く沸かなかった自分には、豊富で的確な図のおかげでその後の会議ではプロセスとかOSの理解度がちょい上がったので、割と感謝している。あとはファイルとかディスクの話も勉強になった。とにかく全般的に薄く内容をさらっていくスタイルなので、基礎知識の整理に良いのかもしれない。

shop.ohmsha.co.jp

 

2.スッキリわかるSQL入門

ミックさんのSQL初心者本と迷ったけどこっちにした。先生と生徒の講義形式だし、練習問題もたくさんあるし、説明も丁寧なので。おかげで同じ時期に入社した人にSQL教える時にどう説明するかという観点でも役に立った。JOINの説明が図が多くてわかりやすいと思う。

とはいえSQLクエリについては、とにかく書いてトライアンドエラーして練習しないといくら知識持っても意味ないので、大雑把に構文理解したらあとは書くのみのような気もする。その点、この本はDBMSの導入をせずともクエリを実行できる環境を用意してくれているので、練習にうってつけなのではないか。

book.impress.co.jp

 

3.達人に学ぶDB設計指南書

ミックさんのDB本は実務目線と理論目線のバランスが良く、なるほどと膝を打つ記述が多いので良き。

SQLできる、と言うと人によって様々に理解(誤解?)されがちだが、クエリ書く以外の部分の基本的なところを勉強できた。正規化とパフォーマンスのトレードオフ関係とか個人的には興味深かった。物理設計はまだ良くわからない。とはいえ論理設計の部分をある程度読んだら、業務で使っているテーブルを見る目も変わったし、その後のデスペ試験でも役に立った。とはいえ咀嚼しきれていない部分が多くを占めるので、ここで紹介する以前にもっと読み込むべきかなと反省もしている。

達人のSQL徹底指南書も良い。

www.shoeisha.co.jp

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4.スッキリわかるPython入門

仕事でプログラム書いてレビューとかする訳ではないので、極論プログラミングできなくてもなんとかなるのだが、一応システム扱っているから少しは知っておいた方が今後のキャリアのためにも大事かなと思って入門した。

Python入門とあるが、この本はプログラミング入門でもある。扱っている言語がPythonゆえ書きやすいのに加えて、これもスッキリわかるシリーズの講義形式で展開されるのでとにかく説明がわかりやすい。基本的なところが分かったところで、自分はPandasを触って自分の業務を効率化するツールを作れるくらいにはなった。最初から公式ドキュメント読めるほど全然強くないので、こうやってレンガを一つずつ積んで勉強できたおかげで、少なくともプログラミング拒絶反応はなくなった気がする。

book.impress.co.jp

 

5.おうちで学べるサーバのきほん

サーバーの基本的な入門書はそこそこあるけど、一番記述が詳しいのはこれだと思う。サーバーとは何かという概念的な話だけでなく、実務で役立つTipsも具体的に書かれているので、他の部署のサーバ管理の人が何しているのかちょっと分かった。現物の写真も載っていて(ハードウェアの中身解体とか)、知識が知識の中だけで完結する恐れもあんまりない。

それにしても世の中にはありとあらゆるサーバが立っている。メールサーバ、ファイルサーバ、データベースサーバ、Webサーバ、認証サーバ、SIPサーバ、DHCPサーバ、DNSサーバ、プロキシサーバ、ウォーターサーバー…。自分は社会人なりたての頃にサーバが何を指しているのか全くわからなかったし、あ〜これかな〜と思って、机の上の黒いデスクトップをぺちぺち叩いて「これなんですか?」と聞いて少しあきれられたのを訓戒としているが、そういう人が第一印象を挽回するためにぜひ勧めたい。しかし未だにサーバーにするかサーバにするか迷っている。

www.shoeisha.co.jp

 

6.初心者でもしっかりわかる図解ネットワーク技術

3分間ネットワークという世にも有益なネットワーク学習サイトがあるが、その管理者の方が書いた本。これも講義形式で、図が豊富で良い。特にネットワークは図がないと理解の試みがいつか挫折する気がするので。

というか、類書のネットワーク入門書よりかなり細かいし、難しい気もするので、3冊めの入門書、としての位置づけくらいが良いような感じもする。自分はエンジニアではないので、正直細部まではあんまり理解できていないと思うが、けれども、原理的な説明を丁寧にしてくれる本は意外と多くない気がするから、勉強になった本として挙げた。第1章、第2章だけでも読む価値あると思う。

ちなみに、コンピュータ・ネットワークも大著だが、つまみ食いして読む分にはすごく良さそうである。

bookplus.nikkei.com

bookplus.nikkei.com

 

7.ニュースペックテキスト応用情報技術者

知識の整理のために紹介。カラフルな図が多くて、やけに冗長な記述もなく、全体のバランスも良いので選出した。

IPAの宣伝になる気がするが、ある程度業務経験したら資格受けると、”なんとなく”得た知識の整理になって良いと思う。資格が直接実務に役立つことは稀だけど、会議やチャットでわからない言葉とかが減って、全体的な知識は確かにつくので、普段の業務の解像度が高くなるメリットはあるのではないか。

koukou.tac-school.co.jp

 

8.現場のプロから学ぶSEO技術バイブル

「さあ君もSEOやってみよう!」と突然お告げが振ってきて、最初はライティングとかコンテンツSEO方面で重要そうなことを学んでいたが、極論、コンテンツSEOGoogleが評価する文章を書く、とにかく書く、に尽きる気がしたので、もうちょっとテクニカルなことも知りたいと思って手に取った。Webサイト自体は既に制作会社が作ってくれたのがあったので、運用面でどんなHTML書いているのか、そしてそれは「良い」書き方なのか解析するのに役立った。

Web技術についてある程度理解が深まったら、Search ConsoleとPageSpeed Insightsを準備して、自社のサイトがどういう評価を受けるのか、この本を携えて逐一確認するのが良さそうだと思う。SEOは巷に言説が溢れかえっているが、基本を大事にする以外近道はなさそうである。

book.mynavi.jp

 

9.わかばちゃんと学ぶGoogleアナリティクス

やはり漫画形式はわかりやすい。それにわかばちゃんもかわいい。もちろん内容も良い。特に、アクセス解析は基本的な単位の理解がズレると妙な結論を導き出す可能性が高いのでChapter3等でしっかりとツボを押さえるのが肝要かなと思う。

一方、本書はユニバーサルアナリティクスの解説なので、2023年の7月に同サービスが終了することも踏まえると、そろそろGA4の勉強を進めたほうが将来的には良さそうでもある。とはいえ、アクセス解析の根底的なところがまるごとひっくり返るわけでもないと個人的には思うので、アクセス解析とは何ぞや?という方にはおすすめ。

www.c-r.com

 

10.ITIL はじめの一歩

ITIL(アイティル)は、ITサービスに限定されたサービスマネジメントのベストプラクティスというより、他の領域でもそこにサービスが有る限り、役立つ考えがきっと拾えるはずの指針だ。顧客目線で、価値を提供し続けるためのメソッドが紹介されているのだ。本書は、そういう意味で、ITの現場に限らず、八百屋とかでもITILを使ったら業務がどう改善するか等がエピソードを交えて解説される。

職場では、多くの知識が暗黙知として共有されていることがしばしばあるけれど、それゆえに人によって使っている言葉の意味が微妙にずれていたり、管理者しか構成の詳細がわからなかったり、過去資料と最新資料がごっちゃになっていて、何が正しいのかわからなかったりと、トラブルを引き起こす火種はデスクの暗い隅でくすぶっているものである。サービスは開発も大事だが、運用して長く付き合っていくことも踏まえれば、開発の尻拭いを暗黙知で解決するのは長い目線で見るとリスクになりうるかもしれない。ITIL、というかサービスマネジメントの活躍できる場所は案外広く、そして細部にある気がする。

www.shoeisha.co.jp

 

 

〜★

 

まあ、まだまだ積読もあるし、ここで紹介した本も恥ずかしながら全部きちんと読んでる訳ではない。こうやって文章を書いていて、自分の知識不足だったり、不真面目な勉強態度が少し思い出された。でも趣味で文学読むのが好きだからこそ、最低限仕事はできるようになっておきたいと思うようにはなった。それに勉強はわるくない。これからも好奇心をもって勉強しつづけられればと思う。さて今年もそろそろ仕事納めである。